Twishortより
お題:レクバン 雰囲気:アンドロレックス
あの日から、十年の時が経とうとしていた。
24才になった俺は、TO社の研究室で父さんと一緒にLBXの研究をしている。二度とあんな事が起きないように、安全で、確実なセキュリティで、それでいて、子供も大人も楽しめるようなLBX。それが俺たちの目標だ。
「父さん」
新しいLBXの設計図を見せれば、父さんは引き出しから眼鏡を取り出して――いつかに俺があげた眼鏡。本人には伝えていないけれども、老眼鏡だ――、それを読み始めた。
「どこかで、似たLBXを見た気がするな・・・・・・」
嗚呼、父さん。時間が流れるのって早いんだね。十年。確かに、何かを忘れるには十分過ぎる時間かもしれない。俺も色々な事を忘れている、それは仕方のない事だし、それがあるから前に進める。
でも、父さん!俺は忘れてなんかいないよ!だって、忘れられないもの!父さんにとってあの人は憎むべき、忘れるべき存在だったかもしれないけれど、俺にとってあの人は大好きな人で!一生忘れられない人なんだ!
「はは、気のせいじゃない?」
嘘。嘘だよ、父さん。そのLBXは、十年前、1台だけこの世に作られ、俺の手によって壊されたもの。赤い身体、爆発的な攻撃力、歪んだその力の矛先は、一体どこだったのか。それは世界だった。でも、俺は世界を終わらせたくなかった。レックスに叫んだ言葉の裏、本当はもっと言いたい事があった。一緒に生きてほしかった。一緒に同じ景色を見たかった。レックスの見ていた世界は、どんなに色あせていたのか。その世界に、色を分け与えたかった。
「そうか。・・・・・・ちょっと攻撃力が高くなりすぎるかもしれんな。どこか削れるか?」
「うん、分かった。削っとくよ」
設計図をまた受け取って、部屋を出る。時計の針は終業時刻をさしていた。
TO社の地下へ続く道を歩く。この道を知っているのは俺しかいない。正確に言えば違うかもしれない。けれど、この道へ入る為の鍵を持っているのは俺だけだ。
最後の重いドアを開けて、暗い部屋の中央へ進む。薄ぼんやりと光っている円柱のマシーンのボタンを押せば、ゆっくりとその円柱は割れて中身が正体を見せる。静かに閉じられた瞳、生やされた髭、懐かしいファーのついたコート。漂う珈琲の匂い。
「レックス」
レックス、貴方は『生きてた』んだよ。レックス。周りの人はみんな「気をあまり落とさないでね」なんて言うけれど、良く分からない。だって、レックスは生きていたんだから。今はこのカプセルの中で寝てるけれど、目を醒ます日は近いんだから。また、あの美味しい珈琲が飲みたいな。研究室の人、珈琲好きな人多いから、喜ぶと思うよ。
「大好きだよ、レックス」
触れた唇が妙に冷たかったのは、きっとこんな暗い場所にいたから。そうだよね?レックス。
―――――
気が触れちゃった系バンさん。勿論レックスは死んだ設定です。
バンが「愛してる」って言わないのは、バンの精神年齢的に言わないと思ったから???
個人的に、まだこのバンは『バン』で、ただ純粋に好きだから、どんな事でも出来ちゃうって設定。
好きだから、何でもしていい。クローンっていう、賛否両論な事だって、善悪ガン無視でやっちゃう。
そんな、バンでした。
お題:レクバン 雰囲気:アンドロレックス
あの日から、十年の時が経とうとしていた。
24才になった俺は、TO社の研究室で父さんと一緒にLBXの研究をしている。二度とあんな事が起きないように、安全で、確実なセキュリティで、それでいて、子供も大人も楽しめるようなLBX。それが俺たちの目標だ。
「父さん」
新しいLBXの設計図を見せれば、父さんは引き出しから眼鏡を取り出して――いつかに俺があげた眼鏡。本人には伝えていないけれども、老眼鏡だ――、それを読み始めた。
「どこかで、似たLBXを見た気がするな・・・・・・」
嗚呼、父さん。時間が流れるのって早いんだね。十年。確かに、何かを忘れるには十分過ぎる時間かもしれない。俺も色々な事を忘れている、それは仕方のない事だし、それがあるから前に進める。
でも、父さん!俺は忘れてなんかいないよ!だって、忘れられないもの!父さんにとってあの人は憎むべき、忘れるべき存在だったかもしれないけれど、俺にとってあの人は大好きな人で!一生忘れられない人なんだ!
「はは、気のせいじゃない?」
嘘。嘘だよ、父さん。そのLBXは、十年前、1台だけこの世に作られ、俺の手によって壊されたもの。赤い身体、爆発的な攻撃力、歪んだその力の矛先は、一体どこだったのか。それは世界だった。でも、俺は世界を終わらせたくなかった。レックスに叫んだ言葉の裏、本当はもっと言いたい事があった。一緒に生きてほしかった。一緒に同じ景色を見たかった。レックスの見ていた世界は、どんなに色あせていたのか。その世界に、色を分け与えたかった。
「そうか。・・・・・・ちょっと攻撃力が高くなりすぎるかもしれんな。どこか削れるか?」
「うん、分かった。削っとくよ」
設計図をまた受け取って、部屋を出る。時計の針は終業時刻をさしていた。
TO社の地下へ続く道を歩く。この道を知っているのは俺しかいない。正確に言えば違うかもしれない。けれど、この道へ入る為の鍵を持っているのは俺だけだ。
最後の重いドアを開けて、暗い部屋の中央へ進む。薄ぼんやりと光っている円柱のマシーンのボタンを押せば、ゆっくりとその円柱は割れて中身が正体を見せる。静かに閉じられた瞳、生やされた髭、懐かしいファーのついたコート。漂う珈琲の匂い。
「レックス」
レックス、貴方は『生きてた』んだよ。レックス。周りの人はみんな「気をあまり落とさないでね」なんて言うけれど、良く分からない。だって、レックスは生きていたんだから。今はこのカプセルの中で寝てるけれど、目を醒ます日は近いんだから。また、あの美味しい珈琲が飲みたいな。研究室の人、珈琲好きな人多いから、喜ぶと思うよ。
「大好きだよ、レックス」
触れた唇が妙に冷たかったのは、きっとこんな暗い場所にいたから。そうだよね?レックス。
―――――
気が触れちゃった系バンさん。勿論レックスは死んだ設定です。
バンが「愛してる」って言わないのは、バンの精神年齢的に言わないと思ったから???
個人的に、まだこのバンは『バン』で、ただ純粋に好きだから、どんな事でも出来ちゃうって設定。
好きだから、何でもしていい。クローンっていう、賛否両論な事だって、善悪ガン無視でやっちゃう。
そんな、バンでした。
| 13:24
前の記事
2012年09月03日
次の記事
2012年09月03日
コメント