Twishortより
お題:レクバン テーマ:イカリソウ 雰囲気:なんか落ちてる
宇宙を落ちる夢を見る。飛ぶんじゃなくて、落ちる夢。
「珍しいな」
呟いた言葉は、耳の横を轟々と走り抜ける何かに聞こえなかった。宇宙に風なんてあったのか。違う、ここは宇宙だから、風は無い。隣を、彗星が、小惑星が通り抜けていって、次第に地球が背に近づいてくる。首をひねれば見える、青々とした綺麗なそれに、俺は何とも言えない罪悪感を抱いた。
「人間は、こんな美しいところにいながら、罪を犯すのか」
何て、陳腐な台詞。そうは思いつつも、口を割った言葉を否定はしなかった。
俺は次第に宇宙から見放され、地球に落とされる。轟々と走り抜ける何かは風に変わった。青々しいものは地球から空になった。何となく、悲しい印象を覚える。あんな美しいところにいれたのに、何故俺は落ちているんだろう。重力とはまるで、人間に対する罰だ。
「レックス」
呼ばれ、上を見上げれば、あれ程愛おしいと思っていた存在がいた。しかし俺とは違い、落ちてはいない。悠々と空を飛んでいるのだ。重力なぞ無いと言った様に、無い翼で俺の上を飛んでいる。
「何で、レックスは落ちてるの」
嗚呼。不思議と、理解が出来た。これは、俺が縛られてしまったからだ。人間の、ありとあらゆる感情に縛られ、そのまま死んだからだ。俺は、未だその呪縛から解放されていない。
「それはな、バン。お前があまりにも上手に飛ぶからだ」
お前は、そんな俺とは正反対だ。ありとあらゆる感情に縛られず、常に前に進むんだ。たとえ縛られそうになっても、助けてくれる仲間もいる。俺は、それがなかった。確かに充実した日々だった。その中に感じていた空虚は、きっとそれなんだろう。
「嗚呼、バン」
お前があまりにも綺麗に飛ぶから、俺はどんどん落ちてしまう。お前が呪縛から解放される程、俺はこの空を落ちていくんだ。
ふいに、俺の手がバンの頬に触れた。艶やかで、滑らかで、愛おしい、その頬。その頬に触れた途端、バンの翼は俺の呪縛に縛られた。
バンも、落ちはじめた。不思議と、今まで感じていた空虚がすっと埋まるのを感じた。罪悪感の裏、確かに感じる歓喜の思いに、俺の落下速度はとうとう最高潮に達する。
「レックス」
バンの手が、俺の頬に触れる。バンの指先が、濡れていた。それは俺の涙なのか、さっきから降り始めた雨なのか。分からない、急に降り始めた雨は俺とバンの落下速度を等しく速める。美しい空は姿を隠し、俺の目を曇らせる。
俺の目からふいに、薄紫の小さな花が伸び、バンの首に絡みついた。小さく上品な花だが、俺はその花の花言葉を知っていた。次第にそれはバンの両目を覆い、そのまま俺の目さえも覆う。
「ずっと、一緒だ」
花に塞がれようとしている口から、言葉を漏らす。すでにバンの顔は見えない。ただ、笑ったような雰囲気が、俺の最後に感じたものだった。
―――――
ぼくのかんがえたれくばんです まる
お題の絡め方が下手くそすぎて
お題:レクバン テーマ:イカリソウ 雰囲気:なんか落ちてる
宇宙を落ちる夢を見る。飛ぶんじゃなくて、落ちる夢。
「珍しいな」
呟いた言葉は、耳の横を轟々と走り抜ける何かに聞こえなかった。宇宙に風なんてあったのか。違う、ここは宇宙だから、風は無い。隣を、彗星が、小惑星が通り抜けていって、次第に地球が背に近づいてくる。首をひねれば見える、青々とした綺麗なそれに、俺は何とも言えない罪悪感を抱いた。
「人間は、こんな美しいところにいながら、罪を犯すのか」
何て、陳腐な台詞。そうは思いつつも、口を割った言葉を否定はしなかった。
俺は次第に宇宙から見放され、地球に落とされる。轟々と走り抜ける何かは風に変わった。青々しいものは地球から空になった。何となく、悲しい印象を覚える。あんな美しいところにいれたのに、何故俺は落ちているんだろう。重力とはまるで、人間に対する罰だ。
「レックス」
呼ばれ、上を見上げれば、あれ程愛おしいと思っていた存在がいた。しかし俺とは違い、落ちてはいない。悠々と空を飛んでいるのだ。重力なぞ無いと言った様に、無い翼で俺の上を飛んでいる。
「何で、レックスは落ちてるの」
嗚呼。不思議と、理解が出来た。これは、俺が縛られてしまったからだ。人間の、ありとあらゆる感情に縛られ、そのまま死んだからだ。俺は、未だその呪縛から解放されていない。
「それはな、バン。お前があまりにも上手に飛ぶからだ」
お前は、そんな俺とは正反対だ。ありとあらゆる感情に縛られず、常に前に進むんだ。たとえ縛られそうになっても、助けてくれる仲間もいる。俺は、それがなかった。確かに充実した日々だった。その中に感じていた空虚は、きっとそれなんだろう。
「嗚呼、バン」
お前があまりにも綺麗に飛ぶから、俺はどんどん落ちてしまう。お前が呪縛から解放される程、俺はこの空を落ちていくんだ。
ふいに、俺の手がバンの頬に触れた。艶やかで、滑らかで、愛おしい、その頬。その頬に触れた途端、バンの翼は俺の呪縛に縛られた。
バンも、落ちはじめた。不思議と、今まで感じていた空虚がすっと埋まるのを感じた。罪悪感の裏、確かに感じる歓喜の思いに、俺の落下速度はとうとう最高潮に達する。
「レックス」
バンの手が、俺の頬に触れる。バンの指先が、濡れていた。それは俺の涙なのか、さっきから降り始めた雨なのか。分からない、急に降り始めた雨は俺とバンの落下速度を等しく速める。美しい空は姿を隠し、俺の目を曇らせる。
俺の目からふいに、薄紫の小さな花が伸び、バンの首に絡みついた。小さく上品な花だが、俺はその花の花言葉を知っていた。次第にそれはバンの両目を覆い、そのまま俺の目さえも覆う。
「ずっと、一緒だ」
花に塞がれようとしている口から、言葉を漏らす。すでにバンの顔は見えない。ただ、笑ったような雰囲気が、俺の最後に感じたものだった。
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ぼくのかんがえたれくばんです まる
お題の絡め方が下手くそすぎて
| 13:17
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