本日 129 人 - 昨日 19 人 - 累計 58089 人

雨音と体温(火黒)

Twishortより



お題:火黒


物凄い雨音が、俺の足音さえもかき消していた。夏特有のそれに、俺は眉を寄せる。

「……ゲリラ豪雨って奴か?」

天気予報士さえも予測出来ないそれを、俺が予測出来る訳もない。置き傘だとか折りたたみだとか、そういう物も持たない性分に出来上がった俺を今は恨む。

雨音に止もうとする意志はなく、俺の足は次第にもう走ってしまおうと叫び始める。革靴を床に叩きつけ、一息。家に帰ったら、すぐにシャワーを浴びよう。汗だくだから、それは変わらない事だけど。

「酷い雨ですね」

「……ミスディレするの、やめねぇ?」

「失礼ですね、してませんよ」

黒子は何もおかしくないと言わんばかりの自然な動作で傘を取り出し、外へ一歩。――なんで持ってるんだ、コイツ。

「持ってやるよ」

「え」

ひょい、と傘は簡単に俺の手の中に。薄い水色――黒子の髪の色に酷く似ている――の傘をくるくる回せば、雨が飛んでどこかへ。

「……火神君が忘れただけでしょう」

「持っててやるんだよ、感謝しろ」

雨が俺の、黒子の足音を消す。体温を消す。足跡さえも、消す。でも、黒子の体温だけは不思議と分かる、なんて。



――――
あかくしの胸が胸やけし過ぎて火傷したんで終了
\続かんよ/



前の記事
2012年09月03日
次の記事
2012年09月03日
コメント
name.. :記憶
e-mail..
url..

画像認証
画像認証(表示されている文字列を入力してください):