Twishortより
お題:レクバン 雰囲気:念願の心中
轟々とサターンの崩れる音に、どことなく世界の終わりの様な感想を覚える。勿論世界が終わる事はなくて、俺たちが死んでも世界は関係なく廻り続けるのだか。だが、世界だとか時間だとか、そういう物に対する認識はとても難しい。俺たちが今死ねば、俺たちの世界や時間は止まるのだ。それは、主観的な考えかもしれない。しかし、終わる事に間違いはないだろう。
俺は最期まで罪を犯す。世界を壊して再構築しようとしていて、結局壊せたのは自分の世界だけだ。しかも、その壊す世界の中に、まだ未来ある幼子を巻き込んでしまうだなんて!きっと俺は天国も地獄もない、無に還らされ、二度と転生する事さえ許されないだろう。
隣で微笑むバンに、俺は何とも言えない感情を抱く。嗚呼、俺は何てことをしたんだ。きっとバンには、己のしでかした事の重ささえ分からないのだろう。理解する前に、死んでしまうのだろう。何も知らない、この世の酸いも甘いも何も知らない純真なその目。その目に最期に映るのが俺だと考えただけで、罪悪感と、それを糧にして燃えさかる背徳感に頭がおかしくなりそうだ。
「レックス。俺、嬉しいよ」
嗚呼、そんな純真な目で俺を見るな。この状況でさえ笑みを零せるその心!俺は持っていないそれを、バンは生まれた時から失っていない。生まれた時から、俺たちは交わるべきではなかったんだ。
しかし、交わってしまった。混ざってしまった。バンの純真さに触れた時、俺の中の欲望の方が勝ってしまったのだ。バンを手に入れたい、俺の中に納めたい、その純真な目で、俺を見て欲しい、と!
「俺も、嬉しいぞ」
違う。バンの嬉しいと俺の嬉しいは違う。同じ言葉で表してはいけない。俺は嬉しいは、欲が満たされた事に対する嬉しさだ!言うなればエロス、情熱の愛。バンの愛はアガペー、まさに愛といえる、自己犠牲で、博愛に満ちたその愛。今俺は、その愛を手に入れたのだ。
「レックス。俺、凄くワクワクしてるんだ」
「きっと、地獄で一緒になるから」
自殺は、イケナイ事なんでしょ?と笑うバン。嗚呼、バン。お前はきっと、また生まれ変わって、愛する奴を見つけて、幸せにその一生を終えるのだろう。俺の事なんか、忘れて―――――
なら、せめて今だけ、バンを独占してしまおう。無意識に伸ばした両手はバンを捕らえて、俺の中に閉じ込めた。バンは恥ずかしそうに身をよじったが、抵抗はしてこなかった。
サターンが、俺たちが、いよいよ燃えさかる炎に焼かれようとしている。俺たちは微笑んで、抱きしめ合った。最期だとは思えない笑顔だった。最期だと、思わなかったからかもしれないな、と思う頃には、俺たちの身体はいよいよ意味を成さなくなっていた。
―――――
大好きです、心中。
お題:レクバン 雰囲気:念願の心中
轟々とサターンの崩れる音に、どことなく世界の終わりの様な感想を覚える。勿論世界が終わる事はなくて、俺たちが死んでも世界は関係なく廻り続けるのだか。だが、世界だとか時間だとか、そういう物に対する認識はとても難しい。俺たちが今死ねば、俺たちの世界や時間は止まるのだ。それは、主観的な考えかもしれない。しかし、終わる事に間違いはないだろう。
俺は最期まで罪を犯す。世界を壊して再構築しようとしていて、結局壊せたのは自分の世界だけだ。しかも、その壊す世界の中に、まだ未来ある幼子を巻き込んでしまうだなんて!きっと俺は天国も地獄もない、無に還らされ、二度と転生する事さえ許されないだろう。
隣で微笑むバンに、俺は何とも言えない感情を抱く。嗚呼、俺は何てことをしたんだ。きっとバンには、己のしでかした事の重ささえ分からないのだろう。理解する前に、死んでしまうのだろう。何も知らない、この世の酸いも甘いも何も知らない純真なその目。その目に最期に映るのが俺だと考えただけで、罪悪感と、それを糧にして燃えさかる背徳感に頭がおかしくなりそうだ。
「レックス。俺、嬉しいよ」
嗚呼、そんな純真な目で俺を見るな。この状況でさえ笑みを零せるその心!俺は持っていないそれを、バンは生まれた時から失っていない。生まれた時から、俺たちは交わるべきではなかったんだ。
しかし、交わってしまった。混ざってしまった。バンの純真さに触れた時、俺の中の欲望の方が勝ってしまったのだ。バンを手に入れたい、俺の中に納めたい、その純真な目で、俺を見て欲しい、と!
「俺も、嬉しいぞ」
違う。バンの嬉しいと俺の嬉しいは違う。同じ言葉で表してはいけない。俺は嬉しいは、欲が満たされた事に対する嬉しさだ!言うなればエロス、情熱の愛。バンの愛はアガペー、まさに愛といえる、自己犠牲で、博愛に満ちたその愛。今俺は、その愛を手に入れたのだ。
「レックス。俺、凄くワクワクしてるんだ」
「きっと、地獄で一緒になるから」
自殺は、イケナイ事なんでしょ?と笑うバン。嗚呼、バン。お前はきっと、また生まれ変わって、愛する奴を見つけて、幸せにその一生を終えるのだろう。俺の事なんか、忘れて―――――
なら、せめて今だけ、バンを独占してしまおう。無意識に伸ばした両手はバンを捕らえて、俺の中に閉じ込めた。バンは恥ずかしそうに身をよじったが、抵抗はしてこなかった。
サターンが、俺たちが、いよいよ燃えさかる炎に焼かれようとしている。俺たちは微笑んで、抱きしめ合った。最期だとは思えない笑顔だった。最期だと、思わなかったからかもしれないな、と思う頃には、俺たちの身体はいよいよ意味を成さなくなっていた。
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大好きです、心中。
| 13:19
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